病気の説明
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気管支喘息

気管支喘息はこの20年で最も治療法が進歩した疾患の一つです。
年間喘息死は年々減少していますが、きっちりとした治療が行われずいまだに2000人以上の方が亡くなっています。図1
喘息とは繰り返し起こる咳や呼吸困難といった症状が特徴的な呼吸器の病気です。
健康な人の場合、肺への空気の通り道である気管支は広く保たれています。図2
一方、喘息の人の気管支は炎症により気道粘膜はむくみ、痰などの分泌物が増えて、空気の通り道が狭く不整になっています。
図3
炎症によって上皮細胞の一部がはがれ落ちて、様々な刺激物に対して敏感になっているため、ほこりや煙草の煙など、ちょっとした刺激にも過敏に反応し、咳や呼吸困難さらに喘息発作を引き起こします。図4
このように喘息の人の気管支では、慢性的な炎症が続いておりこれこそが喘息の原因であると考えられています。
この炎症状態を放っておき、喘息症状や発作を繰り返していると、やがて平滑筋や基底膜といわれる組織が厚くなり、また損傷を受けた部分が元に戻らなくなり、空気の通り道はさらに狭くなって、喘息を悪化させてしまうのです。(レモデリングと言います)図5
治療は長期管理薬と発作治療薬があります。
治療の中心は吸入ステロイドという、炎症を強力に抑える薬を使用します。吸入治療は内服治療と異なり 薬の効果が肺、気管支に直接作用しますので効果は強力です。また全身に回りにくいため全身的な副作用が起こりにくいのが特徴です。
気管支拡張薬を追加処方することがあります。現在、吸入ステロイドと気管支拡張薬の合剤(1剤に2種類の薬が含まれる)がよく使われます。
吸入薬処方しても、きっちり吸入出来ていなければ効果は半減します。当院では、吸入練習器具などを使用し吸入指導にも力を入れております。




COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPDは主にたばこの煙などの有害物質により肺に慢性的な炎症を起こす疾患です。症状は咳、痰、息切れです。
日本には約500万人の患者がいるとされていますが、治療を受けておられる患者様はたった22.3万人です。WHO(世界保健機関)によると、今後もCOPD患者、死亡数はさらに増加し、2020年には、3位になると言われています。
治療の基本は禁煙です。図はCOPD患者の肺機能の低下状況を表していますが、禁煙を行えば喫煙していない人の呼吸機能減少率とほぼ同じになることがわかっています。
インフルエンザ、肺炎球菌ワクチン接種、呼吸リハビリテーションも行います。
薬物治療としては、主に吸入の気管支拡張薬を用います。気管支を広げ空気の通りをよくするので、息切れの症状を改善します。病状が進行し低酸素の状態になると、在宅酸素療法を行います。
睡眠時無呼吸症候群 (Sleep Apnea Syndrome 略してSAS)
SASは睡眠中に断続的に無呼吸を繰返し、その結果日中傾眠などの種々の症状を呈する疾患の総称です。
一晩7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸があり、そのいくつかはnon-REM期(夢をみる浅い眠り以外の睡眠時期)にも出現するもの、または1時間あたりの無呼吸回数(AI)が5回/時以上の方のことをいいます。上記の無呼吸に低呼吸を加味した無呼吸低呼吸指数(AHI)を用い、軽症5≦AHI<20、中等症;20≦AHI<30、重症;AHIが30以上、のように分類されています。睡眠中の上気道の閉塞によっておこるタイプを閉塞型(Obstructive Sleep Apnea Syndrome:略してOSAS)と言い、糖尿病、高血圧、虚血性心疾患、脳血管障害などを合併することが多く突然死を起こすこともあります。

図1に示すように無呼吸指数(AI)>20回/時の場合AI<20回/時の人よりも有意に生命予後が悪くなります。また、交通事故の原因になることもあり、病気を自覚しながら申告することなく無治療で事故を起こした場合は責任を問われることがあります。SASの症状は、いびき、日中の眠気、起床時の頭痛などですが、心配な方はSASに関する自己診断表(エプワース眠気尺度表)で自己診断を行ってみてください。
PDF形式ファイルをご覧いただくには、Adobe社のAdobe Readerが必要となります。

治療は、減量、禁酒、禁煙など生活習慣の改善とCPAP療法と言ってマスク装着下に圧をかけて上気道を広げる機械を就寝時装着して寝ていただく方法が広く用いられています。外科的治療や、軽症には歯科装具を作る場合もあります。重症OSASにおいてCPAP治療群と無治療群を比較した場合、CPAP治療群のほうが有意に予後がよいという報告など、多くの研究によって、中等~重症OSASに対して治療効果が証明されています。図2
当院ではSAS疑いがあれば、まず自宅でできる簡易検査を行っております。
禁煙外来
喫煙は、慢性閉塞性肺疾患、癌、脳卒中、心筋梗塞など、様々な病気の原因となります。
下記の要件を満たした方は保険で禁煙治療を受けることができます。
健康保険で禁煙治療をお受けになれる要件
①ニコチン依存症を診断するテスト(TDS)で5点以上
②(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上(2016年4月からは35歳未満にはこの要件はなくなりました。)
③禁煙したいと思っている
④医師から受けた禁煙治療の説明に同意する
外来の流れです。
①診察
②呼気一酸化炭素濃度の測定
③禁煙実行、継続に向けてのアドバイス
④禁煙補助薬(チャンピックス)の処方