高血圧診断基準の誤解について
「血圧160/100まで大丈夫」って本当!?
高血圧の診断基準に関する重要な情報をお伝えします。
最近、YouTubeなどのSNSで誤った情報が流れているため、正しい知識を共有することが大切です。
高血圧の診断基準とは?
まず、高血圧の診断基準について簡単におさらいしましょう。
高血圧とは、血圧が慢性的に高い状態を指し、一般的には「収縮期血圧(上の値)」が140mmHg以上、または「拡張期血圧(下の値)」が90mmHg以上の場合を指します。
最近の誤解の原因
最近、全国健康保険協会(協会けんぽ)の「未治療者の方への受診勧奨(重症化予防事業)」の基準が変更され、これが誤解の原因となっています。
従来の基準は「収縮期:140mmHg以上/拡張期:90mmHg以上」でしたが、2024年4月から「収縮期:160mmHg以上/拡張期:100mmHg以上」に変更されました。(図1)
この基準は健診受診前の1か月、健診後の3か月に医療機関に受診歴がない方々に受診を勧めるものであり、「このまま放置すると危険ですよ」という意味です。
高血圧治療ガイドライン2019でも「収縮期:160mmHg以上/拡張期:100mmHg以上」は直ちに薬物治療開始となっています。
家庭血圧の重要性
確かに、診察室での血圧測定が140/90を超えたからと言って、直ちに高血圧と断定し受診を勧めるのは早計かもしれません。医療経済的に見ても、これで受診者が増えるのはよくないと考えられます。
そのためにも、日常生活における家庭血圧の測定が重要です。
誤解の懸念
一部の情報では、「160/100までは薬が不要」という誤った解釈が見受けられますが、これは非常に危険です。
一方、ガイドラインは参考基準であり、絶対的なものではありません。下げすぎで認知症進行など様々な問題もありますので、多様な患者様の状態に応じてオーダーメイドの治療が必要です。
しかし、治療法はガイドラインから大きく外れることはありません。
まとめ
高血圧の診断基準は変わっていません。「140/90以上」が高血圧と診断される基準です。受診勧奨の基準変更によって生じた誤解に注意し、正しい情報に基づいて健康管理を行いましょう。
高血圧は早期発見と適切な管理が重要ですので、疑わしい場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。
全国健康保険協会も、誤報を避けるために正確な情報発信を行うべきです。皆さんの健康を守るために、正しい知識と情報を活用していきましょう。(全国健康保険協会作成PDFも参考にしてください。)