COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?「息切れ・咳」は年のせいじゃないかも!症状・原因・最新治療を徹底解説
その「息切れ」、ただの運動不足だと思っていませんか?
「階段を上がると息が切れる」「最近、風邪でもないのに咳や痰が続く」……。
もしあなたが40歳以上で、喫煙歴があるなら、それは単なる加齢や運動不足ではなく、COPD(慢性閉塞性肺疾患) という肺の病気かもしれません。
日本では推定530万人以上の患者さんがいるとされていますが、実際に治療を受けているのはそのうちの氷山の一角(約38万人)に過ぎません。多くの人が「年のせい」と見過ごし、知らぬ間に重症化させてしまっているのが現状です。
今回は、別名「タバコ病」とも呼ばれるCOPDについて、原因、症状、診断、そして最新の治療法までを分かりやすく解説します。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とはどんな病気?
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、従来「肺気腫」や「慢性気管支炎」と呼ばれていた病気の総称です。
タバコの煙などの有害物質を長期間吸い込むことで、空気の通り道である気管支に炎症が起きたり、酸素を取り込む肺胞(はいほう)が破壊されたりします。
- 肺気腫:肺胞の壁が壊れ、肺がスカスカになり、空気をうまく吐き出せなくなる状態。
- 慢性気管支炎:気管支に炎症が続き、粘液(痰)が過剰に分泌され、空気の通り道が狭くなる状態。
これらが複合的に作用し、肺の機能が低下して「息が苦しい」「空気が吸いにくい」といった状態を引き起こします。
COPDの主な原因は「タバコ」
COPDの最大の原因は喫煙です。患者さんの90%以上が喫煙者であることから、「肺の生活習慣病」とも呼ばれています。
タバコに含まれる有害物質が肺や気管支を慢性的に刺激し、炎症を引き起こします。
喫煙者の約15〜20%がCOPDを発症すると言われており、喫煙量が多いほど、また喫煙歴が長いほどリスクが高まります。
その他の原因:
- 受動喫煙
- 大気汚染(PM2.5など)
- 職業的な粉塵や化学物質の吸入
こんな症状はありませんか?(セルフチェック)
COPDはゆっくりと進行するため、初期段階では自覚症状がほとんどありません。
以下のような症状がある場合は要注意です。
- 労作時の息切れ:坂道や階段の上り下り、荷物を持って歩く時などに息が切れる。
- 慢性の咳・痰:風邪をひいていないのに咳や痰が続く、朝に痰が絡む。
- 呼吸音の異常:呼吸するときにゼーゼー、ヒューヒューと音がする(喘鳴)。
進行すると、着替えや入浴といった日常動作でも息切れが起きるようになり、生活の質(QOL)が著しく低下します。
COPDの診断方法:スパイロメトリー
COPDの診断には、「スパイロメトリー」という呼吸機能検査が必須です。
息を最大限に吸い込み、一気に吐き出した時の空気の量(努力性肺活量)と、最初の1秒間に吐き出せる量(1秒量)を測定します。
- 診断基準:気管支拡張薬を使用した後に、「1秒率(1秒量 ÷ 努力性肺活量)」が70%未満であること。
これにより、空気を吐き出す力が低下している(閉塞性換気障害)かどうかが分かります。また、肺気腫の広がりを確認するために胸部CT検査を行うこともあります。
COPDの治療法:早めの対策で進行を防ぐ
一度壊れた肺の組織を元に戻すことはできませんが、適切な治療を行うことで症状を和らげ、病気の進行を遅らせることは可能です。
① 禁煙(最も重要!)
治療の第一歩は禁煙です。喫煙を続ける限り肺機能の低下は止まりません。
自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来を利用するのも有効な手段です。
② 薬物療法(吸入薬が中心)
気管支を広げて呼吸を楽にする「気管支拡張薬」の吸入が治療の中心です。
- LAMA(長時間作用性抗コリン薬)
- LABA(長時間作用性β2刺激薬)
これらを単独、または組み合わせて使用します。
また、2025年にはCOPDに対する初の生物学的製剤(デュピルマブ)の適応が追加され、従来の治療で効果不十分な特定のタイプの患者さん(好酸球が高いタイプなど)に対する新たな選択肢も登場しています。
③ 呼吸リハビリテーション
呼吸法(口すぼめ呼吸など)の練習や、筋力・持久力を維持するための運動療法を行います。
これにより息切れ感を軽減し、動ける体づくりを目指します。
④ ワクチン接種
COPD患者さんは風邪やインフルエンザにかかると重症化しやすく、「増悪(急激な悪化)」を起こすリスクがあります。
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が強く推奨されています。
放置するとどうなる? 合併症と予後
COPDは肺だけの病気ではありません。全身性の炎症を引き起こし、以下のような病気を合併しやすいことが分かっています。
- 肺がん:COPD患者さんは肺がんのリスクが高いとされています。
- 心血管疾患:心不全や虚血性心疾患などのリスクが増加します。
- 骨粗鬆症:全身の炎症や活動量の低下、ステロイド使用などの影響で骨がもろくなりやすいです。
治療せずに放置すると呼吸機能の低下が進み、在宅酸素療法(HOT)が必要になったり、寝たきりになったりするリスクが高まります。
早期発見・早期治療が「健康寿命」を延ばすカギとなります。
まとめ:40歳以上で喫煙歴があるなら一度検査を!
COPDは「治らない病気」ですが、「管理できる病気」です。
「最近、息切れしやすくなったな」と感じたら、年齢のせいにせず、呼吸器内科を受診して肺機能検査を受けてみましょう。
早期の気づきが、あなたの将来の呼吸を守ります。
参考文献・出典
- 日本呼吸器学会「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン 第6版」
- 厚生労働省「患者調査」
- 環境再生保全機構「COPDってどんな病気ですか?」
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」