よくある質問高血圧
「血圧の薬は一生やめられない」は誤解です ―― 早期治療が“やめるチャンス”を残す理由
外来で患者さんからよくこんな質問をいただきます。
「血圧の薬って、一度飲み始めると一生やめられないんですよね?」
この不安に対する正確な答えは、 「薬そのものに依存性はないが、放置して血管が傷んでしまうと、結果としてやめるのが難しくなる」 ということです。
高血圧が「血管」を変えてしまう怖さ
高血圧の本質的な怖さは、数値の高さではなく、血管に加わり続ける「過剰な圧力」にあります。
高い血圧を放置すると、血管には以下の変化が起こります:
- 血管内皮の損傷:血管の内側の壁が傷つき、ゴミ(プラーク)が溜まりやすくなります。
- 動脈硬化の進行:圧力を受け流すために血管が分厚く、硬くなります。
- リマデリング(再構築):一度硬くなった血管は、柔軟な状態には戻りにくくなります。
この段階まで進むと、生活習慣の改善だけでは血圧が下がりにくくなり、結果として「薬を手放せない状態」になってしまいます。
「薬を先延ばしにする」ことの本当のリスク
「まだ自覚症状がないから」「薬は最後の手段にしたい」と治療を遅らせる方は多いです。
しかし、治療を遅らせている間も、血管の老化(動脈硬化)は一刻も休まず進行しています。
早期に治療を開始しないことで、以下のような「逆効果」を招く恐れがあります。
- 血管がボロボロになってから治療を始めるため、薬の種類や量が増えてしまう。
- 血管の柔軟性が失われ、減薬や中止のハードルが上がってしまう。
「血管を守る」ための早期治療という考え方
血圧の薬を早めに使う目的は、単に数字を下げることではありません。
「血管の若さを保つこと」です。
早期治療のメリット:
- 血管のしなやかさを維持できる:将来、体重減少や減塩に成功した際、薬を減らしたり止めたりできる余地を残せます。
- 致命的な合併症を防ぐ:脳卒中や心筋梗塞、腎不全など、人生を大きく変えてしまう病気のリスクを最小限に抑えます。
血圧の薬に「依存性」はありません
改めてお伝えしますが、血圧の薬には、睡眠薬や一部の精神安定剤のような依存性・中毒性・禁断症状は一切ありません。 「薬をやめられない」のは、薬のせいではなく、「薬なしでは血圧を維持できないほど血管が変化してしまったから」なのです。
まとめ
- 血圧の薬は「やめられない薬」ではなく、「血管を守るための道具」です。
- 放置して血管が硬くなるほど、将来的に薬をやめるのは難しくなります。
- 早めの治療は、一生飲み続けるためではなく、将来の健康の選択肢を守るためにあります。
血圧治療で大切なのは、今現在の数字に一喜一憂することではなく、10年後、20年後のあなたの血管をどう守るかです。
不安なことがあれば、いつでも倉知内科へご相談ください。