生活習慣病について ①高血圧の診断と治療
生活習慣病についての改定
2024年6月に診療報酬(医療費の計算基準)が改定されました。その中で大きな変更点は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病に関する見直しです。
これらの病気は、食事、運動、休養、喫煙、飲酒、服薬などの生活習慣が大きく関係しています。そのため、医師は診療ガイドラインに沿って、患者一人ひとりに合った総合的な治療計画を立てる必要があります。
具体的には、医師が患者に対して療養計画書を用いて、適切な生活習慣と治療内容を丁寧に説明し、患者の同意を得ることが必要であります。
生活習慣の改善が健康維持・改善に重要であり、医師と患者が一体となって取り組むことが求められるようになったということです。
このブログでは高血圧・糖尿病・脂質異常症について、ガイドラインに基づいて説明しようと思います。
第一弾は「高血圧」についてです。
高血圧って何? 診断基準を知ろう
みなさん、高血圧ってご存知ですか?
正常血圧は120/80mmHg未満です。120/80mmHg以上になると脳卒中や心臓病、腎臓病にかかるリスクが高くなるため「正常高値血圧」、「高値血圧」と言われます。
さらに高くなり140/90mmHg以上で初めて「高血圧」と診断されます。(図1)
また、最近は家庭での血圧測定が重視されています。診察室での測定値から5mmHgを引いた値で血圧を判定します。朝晩2回ずつ、上腕で測定した値の平均値を使うのがポイント。具体的な測定方法は図2に示します。
家庭での血圧を測ることで、薬の効き具合の確認やムラのある血圧変動にも気づけます。「白衣高血圧」や「仮面高血圧」の見つけ出しにも一役買っています。
正常な血圧リズムを知ろう
血圧には日内リズムがあり、夜間は昼間に比べて10~20%下がるのが正常です。この正常型を「ディッパー」と呼びます。
でも、夜間の下がり具合が小さい「ノンディッパー」や、夜間に上がってしまう「ライザー」のパターンだと、脳、心臓、腎臓の臓器障害が強く、脳心血管死亡のリスクが高くなります。
また、診察室血圧が正常でも早朝や夜間、昼間に高血圧になるパターンの人も要注意。これらは「仮面高血圧」と呼ばれています。病態と因子を図3に示します。
高血圧の生活習慣改善方法
高血圧予防や改善には、生活習慣の改善が欠かせません。
- 塩分の摂取は6g未満に
- 適正体重を維持する
- 飲酒は控えめに
- 禁煙する
これらに気をつけることが大切なんです。(図4)
目標にする血圧はどの程度?
降圧目標は、75歳以上の高齢者や一部の脳・腎臓疾患患者で140/90mmHg(家庭血圧135/85)。それ以外は130/80mmHg(家庭血圧125/75)が目安とされています。(図5)
ただし、120mmHg未満(高齢者は130mmHg未満)に過剰に下げると、かえって臓器障害が起こる可能性があるので注意が必要です。
高血圧は適切な管理が重要ですね。自分の血圧値を把握し、生活習慣を見直すことから始めましょう!