インフルエンザワクチンは安全?副反応は?効果について解説します
インフルエンザワクチンの重要性とその効果
インフルエンザは、毎年多くの人々に影響を与える感染症です。そのウイルスは、口、鼻、目の粘膜から体内に侵入し、細胞内で増殖して感染を引き起こします。潜伏期間の後、発熱やのどの痛みといった症状が現れ、この状態を「発病」といいます。
ワクチン接種は、発病や重症化を予防するために重要な手段です。
本記事では、インフルエンザワクチンの効果、接種の必要性、そして接種に伴う注意点について詳しく説明します。
インフルエンザワクチンの基本的な役割と有効性
インフルエンザワクチンは、「発病」を完全に防ぐわけではありませんが、発病リスクを減少させ、重症化を防ぐ効果があります。
例えば、65歳以上の高齢者施設での調査によると、ワクチンは34~55%の発病予防と82%の死亡予防の効果があると報告されています。6歳未満の小児に対するインフルエンザワクチンの発病防止有効率は60%と報告されています。
このデータからもわかるように、ワクチンは発病防止だけでなく、重症化や死亡リスクの低減に大きく貢献しています。
インフルエンザワクチン接種後の副反応
ワクチン接種後には、免疫反応に伴い副反応が現れることがあります。
多くの場合、注射部位の赤みや腫れ、痛みといった軽い局所的な症状が10~20%の人に見られ、2~3日で消失します。また、発熱や頭痛、倦怠感などの全身性の反応も5~10%の人に起こりますが、これも同様に数日で収まることが多いです。
まれに、アナフィラキシーやショックといった重篤なアレルギー反応が報告されています。これらは接種後すぐに発生する可能性があるため、接種後30分は医療機関内で安静にし、異常があればすぐに医師に連絡することが推奨されます。
さらに、重い副反応としてギラン・バレ症候群や急性脳症などが報告されていますが、これらの原因がワクチンによるものかどうかは明確ではありません。
インフルエンザワクチンの接種方法と対象者
日本では、13歳以上の人は原則として1回接種です。ただし、免疫が低下しているなど医学的な理由がある場合、医師の判断により2回接種が推奨されることもあります。
一方で、13歳未満の子供は2回接種が基本であり、特に6か月以上3歳未満の場合、1回あたり0.25mLを接種します。3歳以上13歳未満では、1回0.5mLが標準です。2回接種の目的は、より高い免疫反応を引き出すためです。
妊婦や乳児への影響
妊娠中でもインフルエンザワクチンの接種は可能です。むしろ、妊娠中の接種は母体の発症や重症化を防ぐだけでなく、抗体が胎児に移行し、生後6か月間の乳児の感染防御効果が期待できます。
授乳中の方も安心して接種できます。
効果の持続期間と接種時期
インフルエンザワクチンの効果は、接種後2~3週間程度で現れ、5~6か月持続します。このため、10月中の接種を推奨し、遅くとも12月中旬までには接種を完了させることが望ましいです。特に流行のピークが1月末から3月上旬にかけてであることを考慮すると、早めの準備が鍵となります。
インフルエンザワクチン接種のメリットと限界
ワクチンを接種することで、「かかりにくくなる」「かかっても軽くすむ」という2つの主なメリットがあります。例年、インフルエンザの重症化を防ぐために多くの方が接種を受けており、その効果は広く認識されています。
とはいえ、インフルエンザワクチンは発病そのものを完全に防ぐものではありませんが、重症化や死亡のリスクを大幅に軽減します。高齢者や基礎疾患のある方は特に重症化リスクが高いため、ワクチン接種が重要です。
接種後の注意点
接種後、万が一異常が見られた場合は速やかに医師に連絡することが推奨されます。一般的な副反応は短期間で収まりますが、重篤な症状が疑われる場合には迅速な対応が必要です。
大阪市のインフルエンザワクチンについて
接種期間
10 月 1 日より翌年の 1 月 31 日まで
接種対象者
①接種当日に65歳以上の市民の方
②接種当日に60歳~64歳で、心臓・腎臓または呼吸器の機能により、身の回りの生活が極度に制限される程度の障がいのある市民の方。また、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能により、日常生活がほとんど不可能な程度の障がいのある市民の方(身体障がい者手帳1級相当)
接種費用
1,500 円
※ただし、生活保護受給者、市民税非課税世帯の方、災害のために居住地で定期予防接種を受けることが困難な方、公害認定患者の方は、接種当日に確認書類を医療機関に持参いただくと無料になります。
当院では接種対象の①と②以外の方は3,000円です。