肥満症の治療~健康的な生活を目指して~
肥満症や肥満を伴う2型糖尿病の治療には、生活習慣の見直しから専門的な治療まで幅広いアプローチがあります。当院では患者さま一人ひとりの状況に合わせ、最適な治療法をご提案しています。
本記事では、当院が提供する肥満症や糖尿病治療、また必要に応じて専門病院である南大阪病院へ紹介しますので、そのことについても詳しく解説します。
肥満症治療の基本
肥満症の治療はまず、食事療法・運動療法・行動療法など、生活習慣の見直しが基本です。これにより、健康的な体重減少と肥満による健康リスクの軽減を目指します。
しかし、生活習慣改善だけでは十分な効果が得られない場合や、合併症がある場合には以下の治療法を検討します。
- 薬物療法
- 外科治療
専門的な肥満治療
【A】薬物療法:ウゴービ(GLP-1製剤)
ウゴービは、肥満治療のための専門薬として厚生労働省のガイドラインに基づき、限られた施設でのみ処方可能です。当院では取り扱いがないため、対応可能な南大阪病院をご紹介しています。
●ウゴービ治療の特徴
- 血糖値を下げる効果に加え、食欲抑制や代謝改善を通じて、持続的な体重減少が期待できます。
- 週1回の自己注射で、患者さまの負担が少ない治療法です。
●治療の適応条件
ウゴービ治療を受けられる方は、以下の条件を満たしている必要があります。
- 高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかが診断され、病院管理下で6か月以上の適切な治療を継続していること
- BMIが35以上、またはBMIが27以上で肥満に関連する健康障害を2つ以上有すること
肥満に関連する健康障害には以下が含まれます。
• 耐糖能異常(2型糖尿病など)
• 脂質異常症
• 高血圧
• 非アルコール性脂肪性肝疾患
• 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 など
【B】外科治療:腹腔鏡下スリーブ状胃切除術
内科的治療や薬物療法で十分な効果が得られない場合、外科治療の選択肢があります。
腹腔鏡下スリーブ状胃切除術
- 胃の容量を大幅に減らし、食事量の制限と早期満腹感を得られる手術です。
- 高血圧や糖尿病など、肥満に関連する合併症の改善も期待できます。
- 腹腔鏡下手術のため、身体への負担が少なく、回復も早いのが特徴です。
●手術が適応となる患者さまの条件
- <BMI 35以上の場合>
6ヶ月の内科的治療を行なっている。 糖尿病、高血圧症、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群または非アルコール性脂肪肝を含めた非アルコール性脂肪間疾患のうち1つ以上を合併している。 - <BMI 32〜34.9の場合>
6ヶ月以上の内科的治療を行なっている。 糖尿病(HbA1cが8.0%以上)、高血圧症、脂質異常症、閉塞性 睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性脂肪肝を含めた非アルコール性脂肪肝疾患のうち2つ以上を合併している。
当院が提供する肥満症の薬物療法(糖尿病合併の場合のみ)
【A】GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬は、上記のウゴービと同系統の薬剤で血糖値をコントロールしながら体重減少効果が期待できる薬剤です。当院では以下の治療法をご用意しています。
• 内服薬(リベルサス)
1日1回服用する薬で、効果を最大限に引き出すため、服用方法には以下の注意が必要です。
o 空腹時にコップ半分(約120mL以下)の水で服用
o 服用後30分間は飲食や他の薬剤の摂取を避ける
• 注射薬(マンジャロ等)
週1回の自己注射製剤で、簡便さと効果の両立が可能です。摂食抑制効果と体重減少を同時に期待できます。
【B】SGLT2阻害薬
SGLT2阻害薬は、尿中に糖分を排泄することで血糖値を下げるだけでなく、体重減少効果も期待できる薬剤です。糖尿病治療の中心的な選択肢の一つとして使用されています。
当院と南大阪病院の連携
当院では、糖尿病を合併した肥満患者さまに対して、適切な薬物療法や生活指導を行っています。また、より専門的な治療が必要な場合には、南大阪病院と連携し、患者さまの健康改善をサポートしています。
肥満症や糖尿病治療に関するご相談は、当院外来窓口までお気軽にお問い合わせください。一人ひとりに適した治療をご提案し、健康的な生活をサポートします。