サンドウィッチマン伊達さんが脳梗塞に こんな症状が出たらすぐ119番!家庭での正しい対応とは
人気お笑いコンビ「サンドウィッチマン」の伊達みきおさんが、脳梗塞のため入院していることが発表されました。
所属事務所によると、伊達さんは体調不良を訴えて病院で検査を受けたところ脳梗塞と診断され、迅速な対応によって幸い大事には至らず、現在は入院治療を受けながらリハビリに励んでいるとのことです。
今回のニュースをきっかけに、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。
それは、
脳梗塞は「少し様子を見よう」が危険な病気
だということです。
脳梗塞は治療開始までの時間によって、その後の後遺症や回復の程度が大きく変わります。
では、家庭でどのような症状に気づけばよいのでしょうか。
脳梗塞とは?
脳梗塞とは、脳の血管が血栓などによって詰まり、その先の脳に血液や酸素が届かなくなる病気です。
脳卒中には、
- 血管が詰まる「脳梗塞」
- 血管が破れる「脳出血」
- 主に脳表面の血管が破れる「くも膜下出血」
などがあります。
家庭でこれらを正確に区別することはできません。
したがって重要なのは、
「脳卒中かもしれない」と思ったら、病名を判断しようとせず救急車を呼ぶこと
です。
脳梗塞を疑ったら「BE FAST」を覚えてください
以前から脳卒中の発見には「FAST」という言葉が使われてきました。
最近では、そこに
B=Balance(バランス)
E=Eyes(目)
を加えた、
「BE FAST」
という覚え方があります。
American Stroke Associationも、脳卒中の警告症状としてBE FASTを紹介しています。
B:Balance ― 突然のふらつき
突然、バランスが取れなくなった
という症状です。
たとえば、
- 急にまっすぐ歩けなくなった
- 突然立っていられなくなった
- 急に強いめまいが起こった
- 今まで普通だったのに突然ふらついた
などです。
特に重要なのは、「突然」起こったかどうかです。
高齢者では「年齢のせいかな」と考えてしまいがちですが、突然の強いふらつきは脳卒中の症状である可能性があります。
E:Eyes ― 突然の目の異常
脳梗塞では目の症状が出ることもあります。
たとえば、
- 突然片目が見えなくなった
- 急に物が二重に見える
- 視野の半分が見えない
- 急に視界がぼやける
などです。
「目の病気かな」と眼科を受診しようと考えることもあるかもしれません。
しかし、突然起こった視覚異常は脳卒中の可能性があります。
特に、ふらつきや手足の麻痺、ろれつの異常などを伴っていれば、すぐ119番を考えてください。
F:Face ― 顔のゆがみ
本人に、「笑ってみてください」と言ってみましょう。
- 片方の口角だけ下がっている
- 顔が左右非対称
- 片側の顔が動かしにくい
- 片側がしびれる
という場合は要注意です。
脳卒中では、顔の片側だけに症状が出ることがあります。
A:Arm ― 片腕に力が入らない
本人に、「両腕を前に伸ばしてみてください」と言います。
- 片方の腕だけ下がってくる
- 片腕を上げられない
- 片側だけ力が入らない
- 急に片手がしびれる
このような場合は脳卒中を疑います。
典型的には、右か左の片側だけに症状が出ます。
S:Speech ― 言葉がおかしい
簡単な文章を話してもらいます。
たとえば、「今日はいい天気ですね」と言ってもらってください。
- ろれつが回らない
- 言葉が出てこない
- 違う言葉を言ってしまう
- 話の内容がおかしい
- こちらの言っていることを理解できない
などは重要な症状です。
本人は自分の異常に気づいていない場合もあります。
家族から見て、「いつもの話し方と違う」という感覚も重要です。
T:Time ― 迷わず119番
B・E・F・A・Sのどれか一つでも突然出たら、
すぐに119番してください。
American Stroke Associationでも、BE FASTの最後の「T」はTime to call 911、つまり救急要請する時間であるとしています。
ここで大切なのは、「全部そろっていなくてもよい」ということです。
顔は普通でも、突然ふらついて歩けない。
手は動いても、急に言葉が出なくなった。
突然片目が見えなくなった。
こうした症状だけでも脳卒中の可能性があります。
一度治ったら大丈夫?
これもぜひ覚えておいてください。
たとえば、
「右手が動かなかったけれど10分後には治った」
「急に言葉が出なかったけれど、30分したら普通に戻った」
という場合。
治ったから安心、ではありません。
一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があります。
TIAは、一時的に脳への血流が悪くなって脳卒中と同じような症状が出たあと、症状が消失するものです。
その後、本格的な脳梗塞につながることがあります。
したがって、
症状が消えても「明日病院へ行こう」ではなく、早急な医療機関への受診が必要です。
家庭で脳梗塞を疑ったらどうする?
ここが最も大切です。
① まず119番
脳卒中を疑ったら、家族の車で病院を探すより、まず119番です。
救急隊は症状を確認し、必要に応じて脳卒中に対応できる医療機関へ搬送します。
「夜だから明日の朝まで待とう」
「もう少し様子を見よう」
は避けてください。
② 発症した時刻を確認する
救急車を呼ぶと同時に、「いつから症状が出たのか」を確認してください。
たとえば、
「午後8時までは普通にテレビを見ていた。8時10分に話し方がおかしいことに気づいた」
という情報です。
本人が一人でいて発症時刻がわからなければ、「最後に正常だった時刻」が重要になります。
脳梗塞では、発症時刻によって選択できる治療が変わるためです。
American Stroke Associationも、症状が始まった時刻を確認することの重要性を強調しています。
なぜそんなに急ぐの?
脳梗塞では血管が詰まると、その先の脳細胞が次々と障害されていきます。
一定の条件を満たす場合には、血栓を溶かす薬を使った治療や、カテーテルを使って血栓を取り除く治療が行われます。
いずれも、早く治療を開始するほど有利です。
脳卒中治療でよく使われる言葉に、「Time is Brain(時間は脳)」があります。
まさに、「失われる時間そのものが、失われる脳につながる」という意味です。
救急車が来るまで家庭ですること
救急車が到着するまでは、安全な場所で安静にして待ちます。
無理に立たせたり歩かせたりしないでください。
意識が悪い、あるいは嘔吐している場合には、吐いたものを誤嚥しないよう横向きにします。
そして、
- 保険証・マイナ保険証
- お薬手帳
- 現在飲んでいる薬
- 過去の病気
- 症状が始まった時刻
などがわかるよう準備しておきましょう。
特に、血液をサラサラにする薬を飲んでいるかは重要な情報です。
やってはいけないこと
血圧が高いからと勝手に降圧剤を追加しない
脳卒中を発症すると、血圧が非常に高くなることがあります。
しかし、「血圧が200だから薬をもう1錠飲ませよう」と自己判断するのは避けてください。
脳卒中急性期の血圧管理は、脳梗塞なのか脳出血なのか、どの治療を行うのかなどによって異なります。
医療機関に任せましょう。
自己判断でアスピリンを飲ませない
「脳梗塞なら血液をサラサラにした方がいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし家庭では、脳梗塞なのか脳出血なのか区別できません。
そのため、自己判断でアスピリンなどを追加して飲ませることは避けてください。
食べ物や飲み物を無理に与えない
脳卒中では、飲み込む機能が障害されていることがあります。
本人が「水が飲みたい」と言っても、むせたり誤嚥したりする可能性があります。
無理に水や食べ物を与えず、救急隊の到着を待ちましょう。
脳梗塞になりやすい人は?
脳梗塞の代表的な危険因子には、
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 喫煙
- 肥満
- 運動不足
- 心房細動
などがあります。
American Stroke Associationも、高血圧、心房細動、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙、肥満などを重要なリスク因子として挙げています。
特に高齢になると増えてくるのが心房細動です。
心房細動では心臓の中に血栓ができ、それが脳へ飛んで大きな脳梗塞を起こすことがあります。
なお、今回の伊達さんについては、脳梗塞の原因や詳しい症状は公表されていません。
報道だけから「高血圧が原因だった」「生活習慣が原因だった」などと推測することはできません。
最後に―「BE FAST」だけでも覚えてください
脳卒中について、難しい医学知識を全部覚える必要はありません。
覚えてほしいのは、
BE FAST
です。
- B Balance
突然のふらつき・歩けない - E Eyes
突然見えない・二重に見える - F Face
顔の片側が下がる・ゆがむ - A Arm
片腕に力が入らない - S Speech
ろれつが回らない・言葉が出ない
そして、
- T Time
一つでも突然起こったら、迷わず119番です。
症状が軽くても、途中で治っても安心してはいけません。
今回、伊達みきおさんは迅速に医療機関で対応を受け、幸い大事には至らなかったと所属事務所から発表されています。
脳梗塞では、
「もう少し様子を見てみよう」ではなく、「もしかして」と思った時点で行動すること
が大切です。
この機会にぜひ、ご家族でも「脳卒中はBE FAST」を覚えておいてください。