よくある質問1「下の血圧(拡張期血圧)って何?」
このブログでは、患者様からよくいただくご質問にお答えしていきます。
日々の診療の中で「なぜ血圧は上と下の2つがあるの?」「下の血圧が高いのはなぜ?」という疑問をよく耳にします。そこで、記念すべき第1回目は「下の血圧(拡張期血圧)」について取り上げます。
血圧は、私たちの体の健康状態を知る重要な手がかり。特に下の血圧には、血管や心臓の健康状態が隠されています。
今回は、その仕組みと重要性をわかりやすく解説します!
そもそも血圧って何?下の血圧はどういう意味?
血圧とは、心臓が血液を送り出すときに血管にかかる圧力のことです。2つの値があります:
- 上の血圧(収縮期血圧)
心臓がギュッと力を入れて血液を送り出す瞬間の圧力です。ちなみに収縮期圧140mmHg以上が高血圧です。 - 下の血圧(拡張期血圧)
心臓がリラックスして血液を送り出していない間の圧力です。それでも血圧は0になりません。この間、血液が流れ続けるのは、大動脈が「血液の貯水池」として働いているからです。ちなみに拡張期圧90mmHgが高血圧です。
大動脈が支える下の血圧
- 心臓が血液を送り出すと、大動脈は風船のように膨らみます。
- 心臓がリラックスすると、大動脈が縮み始め、ためた血液を少しずつ全身に送り出します。
- この大動脈が血液を押し出す力によって生じるのが下の血圧です。
なぜ下の血圧が高くなるの?
血圧が上がる原因は、血液の量と血管の抵抗の2つが関係しています。
1. 血液の量が増える場合
例えば、塩分を多く摂るなどで体内の水分量が増え、血液の量が増加します。この結果、下の血圧も上昇します。
2. 血管の抵抗が増える場合
血管が狭くなると、血液が流れるときの抵抗が強くなります。これは、ホースの先端をつぶして水を出したときに勢いが増すのと同じ仕組みです。
血管が狭くなる原因の1つは動脈硬化。血管の壁が硬くなると、血液が流れにくくなり、血圧が上昇します。
また、肥満も血管に大きな負担をかけます。例えば、体重40kgの人と100kgの人では、血液を送り出す量が大きく異なるため、血圧にも影響します。
下の血圧が高いとどんなリスクがあるの?
下の血圧が高い場合、次のようなリスクが考えられます:
- 動脈硬化が進む
血管が硬くなる動脈硬化は、脳や心臓、腎臓といった重要な臓器に影響を与えます。 - 心臓や血管の病気が増える
下の血圧が高いのは、全身の血管に負担がかかっているサイン。放置すると、心筋梗塞や脳卒中といった深刻な病気につながることがあります。
高齢者の下の血圧に注意が必要な理由
高齢になると、大動脈が硬くなり、血液をためる力が弱くなります。このため、下の血圧が正常値でも血管の状態を正しく反映しないことがあります。
さらに、心臓の弁膜症などの病気が影響して血圧が変わることもあるため、下の血圧が低くても油断はできません。
患者様へのアドバイス:下の血圧に注目を!
- 若い方で下の血圧が高い場合は、動脈硬化が始まっているサインかもしれません。早めの対策が重要です。
- 高齢の方では、下の血圧だけでなく、上の血圧も含めた総合的な血圧管理が必要です。
血圧は体からの大切なメッセージです。定期的に測定し、自分の体の状態を知ることが、病気を防ぐ第一歩。気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください!
これからも、患者様からいただいた質問をもとに、健康に役立つ情報をお届けしていきます。次回のテーマもお楽しみに!