いびき・日中の眠気、CPAPの対象かも?
― 2026年6月、睡眠時無呼吸の保険基準が広がりました
「いびきがひどいと言われる」「寝ても疲れがとれない」「日中、こらえきれない眠気におそわれる」。
こうした症状の陰に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れていることがあります。
その代表的な治療が、CPAP(シーパップ)です。2026年6月の診療報酬改定で、このCPAPを保険で始められる条件が広がりました。
「以前は基準に届かなかった」という方にも、再評価の価値があります。
今回は、CPAPの適応――どんな方が対象になるのか――を、改定の内容もふまえてご説明します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とCPAP
SASは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり浅くなったりして、体が低酸素状態を繰り返す病気です。
ご本人は気づかないことが多いのですが、放置すると高血圧・心臓病・脳卒中・糖尿病などのリスクが高まり、日中の強い眠気による交通事故などにもつながります。
重症度の目安となるのが「AHI(無呼吸低呼吸指数)」です。これは1時間あたりに呼吸が止まる・浅くなる回数を示すもので、数値が大きいほど重症です。
CPAPは、鼻に当てたマスクから空気を送り続けて気道がふさがるのを防ぐ治療で、中等症から重症のSASに対して、最も標準的で効果の確立された方法です。
CPAPの適応 ― 保険で始められる基準
CPAPを保険診療で導入するには、検査でAHIなどが一定の基準を満たす必要があります。検査には、ご自宅でできる「簡易検査(アプノモニター)」と、より詳しく調べる精密検査「終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)」があります。
基準は、2026年6月の改定で次のように見直されました。
| 検査の種類 | これまで | 2026年6月の改定後 |
|---|---|---|
| 簡易検査(ご自宅) | AHI 40以上で導入可 | AHI 30以上で導入可(基準を引き下げ) |
| 精密検査(PSG) | AHI 20以上+症状で導入可 | 変更なし |
つまり、これまで簡易検査でAHIが30〜39だった方は、CPAPを始めるために入院しての精密検査が必要でしたが、改定後は簡易検査だけで、外来でCPAPを導入できるようになりました。
導入のハードルが下がり、対象となる方の裾野が広がったといえます。
2026年6月の改定で変わったこと
今回の改定のポイントは、大きく二つです。
ひとつは、上で述べた「導入基準の緩和」です。より多くの方がCPAPの保険適用を受けられるようになりました。「以前に検査をしたが基準に届かなかった」という方も、いまなら対象になる可能性があります。
もうひとつは、「続けて使うこと」がこれまで以上に重視されるようになった点です。CPAPは導入して終わりではなく、毎晩きちんと使い続けてこそ効果が出ます。
改定では、使用状況をモニタリングしながら治療を支える体制が評価される形になりました。
カギは「装着時間」 ― 1日4時間以上が目安
CPAPは、寝ている間に長く装着できてこそ効果を発揮します。
治療効果の目安としてよく用いられるのが「1日4時間以上の使用」です。毎晩1〜2時間で外してしまうと、明け方の無呼吸が残り、十分な効果が得られないことがあります。
2026年6月の改定でも、この「4時間以上の使用」が一つの目安として位置づけられました。
新しく設けられた管理体制の評価では、医療機関がモニタリング機器を活用し、患者さん全体として「1日4時間以上使えた日が月20日以上」という継続使用を支えられているかが見られるようになっています。
「4時間使えなければ保険が打ち切られる」という意味ではありません。
これは医療機関側の体制を評価する基準で、個々の患者さんがすぐに対象外になるものではありません。
ただし、ほとんど使えていない状態(たとえば3か月続けて1日平均1時間未満)が続くと、保険上の管理の扱いが見直されることがあります。
大切なのは、無理なく使い続けられることです。使いにくさの多くは、マスクの種類や空気圧の調整、鼻づまりの治療などで改善できます。
「合わないからやめる」のではなく、続けられる形を一緒に探すことが何より重要です。
当院では、装着初期のつまずきや使い心地のご相談にも丁寧に対応しています。
「いびきの問題」と軽く見ないことが大切
SASは「いびきの問題」と思われがちですが、実際には全身の健康に関わる病気です。適切にCPAPを使うことで、日中の眠気が軽くなるだけでなく、高血圧や心臓・血管への負担を減らすことが期待できます。
朝の目覚めや日中の集中力が変わったと実感される方も少なくありません。
保険が適用されれば、自己負担は月およそ5,000円程度(3割負担の場合)で、装置は医療機関からの貸し出し、月1回程度の通院で続けられます。
当院での検査・治療について
倉知内科クリニックでは、ご自宅でできる簡易検査から、CPAPの導入・継続管理まで対応しています。
「いびきを指摘される」「日中の眠気がつらい」「以前は基準に届かなかったが気になっている」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
呼吸器内科の診療内容については、当院ホームページもあわせてご覧ください。
※ 具体的な算定要件・施設基準は、最新の告示・通知および地方厚生局の案内をご確認ください。